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リストラ②

SIerとSEはクラウドで不要!?IT業界でSEリストラの嵐が吹き荒れる!?

SIer(エスアイアー)とは?

前回の記事でも紹介した「SIer」という職業。

ITに関連する技術革新が目まぐるしい只今、「システムエンジニア、いわゆるSEに大量失業・リストラ時代がやってくるのではないか?」、「SIerやITコンサルティングファーム不要論」等々が業界で囁かれている

【参考記事】SIerとは?SIerで求められる能力・スキルや業務内容、分類を徹底解説!!

このような分野の名著を最初に紹介しておこう。

 

 

システムインテグレーション崩壊 これからSIerはどう生き残ればいいか?

SIer」の読み方は「エスアイアーあるいはエスアイヤー」、一般的には前者のエスアイアーが用いられる

そもそも、SIerとは、システムインテグレーション(System integration)を行う企業を指す。SIに「~する人」という接尾辞「-er」を付けてできた造語である。

システムインテグレーションを訳すと、「個別のサブシステムを集めて1つにまとめ上げ、それぞれの機能が正しく働くように完成させる」という意味になる。

より実務的に表現すると、システムを構築する際に、ユーザーの業務を把握・分析し、ユーザーの課題を解決するようなシステムの企画、構築、運用サポートなどの業務をすべて請け負うことである。

もっと分かり易く業務を区切って説明すると、SIerの主な業務は、「戦略立案・企画」、「要件定義」、「設計・開発」、「運用・保守」の4つに分けられる。

また、SIerと一言で表現しても、企業の沿革や創業経緯から(1)メーカー系SIer(2)ユーザー系SIer(3)独立系SIer3つに分類できる。

●メーカー系SIer企業例
・日立製作所系(日立ソリューションズ、日立システムズ)
・NEC系(NECソフト、NECシステムテクノロジー、NECネクサソリューションズ)
・富士通系(富士通マーケティング、富士通エフサス、富士通エフ・アイ・ピー)
・東芝系(東芝ソリューション)
・三菱電機(三菱電機インフォメーションシステムズ、三菱電機インフォメーションテクノロジー)
・外資系(IBM、Microsoft、Hewlett Packard Enterprise、HP inc.、Lenovo等)
・その他:オージス総研 等々

●ユーザー系SIer企業例
NTTデータ、野村総合研究所(NRI)、日本総合研究所、電通国際情報サービス(iSiD)、SCSK、NTTコムウェア、新日鉄ソリューションズ(NS Solutions)、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、住商情報システムズ(SCS)、三井情報、三菱総研DCS、Accenture、Tata Consultancy Services、AT&T、Computer Sciences Corporation 等々

●独立系SIer企業例
ユニシス、TIS、SCSK、大塚商会、富士ソフト、トランスコスモス、オービック、シーエーシー、インテック、内田洋行、NSD、オラクル(Oracle)、アドビシステムズ(Adobe)、SAP 等々

 

 

SIer(エスアイアー)が不要となる理由とは!?

顧客のIT投資の抑制

クラウドの普及と合わせ、ユーザー企業のIT投資への見方が変わってきている。

システムへの投資は費用対効果が見えにくく、不確実性も多く、10億円をシステムに支払ったからといって15億円分の費用削減効果や顧客満足度向上による売上高の拡大が見込めるわけではない。

そのような意味では、IT投資は一種のギャンブルであり、ギャンブルでの勝率を少しでも高めるために外部のコンサルティングファームやSIerを活用する動きが増加していることはいうまでもない。

また、どんな大企業であっても金融資産には限りがあり、そのような資産の投資先の優先順位がITよりも新規事業・収益源の構築や海外進出といった領域のほうが高くなっている傾向にある。

クラウドの台頭

システムインテグレーション(SI)を収益源としてきたSIerの業務領域が、次々と凄まじい勢いでアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)をはじめとしたクラウドに奪われている。

代表的な例では、三菱UFJ銀行がある。2017年1月、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が、パブリッククラウドサービスの「Amazon Web Services(AWS)」を採用することを公式発表し多くのSIerに衝撃を与えた。

以下は、「週刊ダイヤモンド」の記事の一部引用だ。詳細は、引用元の記事を参照して欲しい。

今年は大手ITベンダーにとって「終わりの始まりの年」と記憶されるかもしれない。そんな“地殻変動”が静かに進んでいる。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が、ITシステムにクラウド(インターネットでつながったコンピューター上で運用するシステム)の採用を決め、金融・IT業界の注目を集めているのだ。

中略

MUFGでは、いかに費用を抑え、最新技術も取り入れた上で短期間でのシステム開発を行うかという課題に対応するため、クラウドを選択。現在はクラウド最大手の米アマゾンウェブサービスと組み、業務システムの一部から移行を進めている。今後5年間で100億円のコスト削減が可能といい、将来的には1000を超えるシステムの約半分をクラウド化していく計画だ。また、「クラウドへのシステム移行は聖域を設けず全面的に行う。現在は技術的な問題で移行は難しいが、それが解決されるツールが将来的に出てくれば勘定系システムを移行する可能性は十分ある」(BTMU幹部)としているのだ。

中略

この流れを戦々恐々と見ているのが、ITシステムの販売で食ってきた旧来の大手ITベンダーだ。金融系のITサービスは年間で国内約3兆円の市場で、NTTデータ、富士通など上位4社で約10%ずつシェアを持つ。これが貴重な飯の種になってきた。一方、アマゾンのクラウドサービスに対抗できる日本のITベンダーは存在しない。NECなどは逆にアマゾンのクラウドを顧客企業に導入する業務を行う「協力企業」にくら替えしたほどだ

以下略

出典「週刊ダイヤモンド」-三菱UFJがITシステムをクラウド化、アマゾンに移管の衝撃:http://diamond.jp/articles/-/128045

 

 

クラウドがSIerにとってなぜ悪なのか?

それでは、もっと具体的な話をしよう。なぜクラウドがSIerにとって悪なのか?

①クラウドのIaaSによりSIerのハード面の整備・保守サービスが不要になる

■知っておきたいIaaSPaaSSaaSについて

端的にいえば、クラウドサービスの普及により、SIerの顧客が個別にシステムインフラを用意する必要がなくなったことがSIer不要論の源泉の一つとなっている。

最初に、クラウドの一つの機能、IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)について触れよう。

これまで、SIerは、ソフトウェアの導入だけでなく、ハードウェアの整備・保守でも大きな収益を安定的に確保出来ていた。

しかし、クラウドが主流となってくると話が大きく変わってくる。その理由には、クラウドの基本機能であるIaaS (Infrastructure as a Service)がある。IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)とは、クラウドコンピューティングにおけるサービスの提供形態のひとつで、特にコンピューターシステムを稼動させるための基盤をサービスとして提供することを指す。

SIerの顧客は提供される機器を購入し社内に「物理的に所有する」ITの利用形態を採っていたが、クラウドを採用することでネットワークを通してクラウド事業者(アマゾンやIBM、マイクロソフト)が提供する機器を「遠隔で利用する」形態へと変わる。

もっと、具体的にいうと、顧客は必要な個数、性能のサーバーやCPUをネットワークを介してすぐに入手できる。サーバーを社内に置いておくスペースの確保すらも必要無くなる。また、システムを稼働後に利用数を再指定できるので、基盤整備に必要なハードウェアの規模の見積もりといった作業も不要になる。無論、基盤の運用および保守もクラウド事業者が遠隔で行ってくれるため、SIerが必要とされることはない。

更にいえば、従量課金制を採用しているクラウド事業者も多く、顧客がサーバーやCPUに掛けた負荷の分だけ料金が請求されるため、顧客に取っても合理的かつ納得感があり、この場合にもSIerが行っていたハードウェアの規模の見積もりが不要となり、価格設定の根拠が不明確かつ多額の請求を行っていたSIerをクラウド事業者よりもあえて優先して顧客が選ぶ必要も無くなってきている。

大手SIerに近況を聞いてみたところ、質の良い提案書作成し提案したとしても、SIerが見積もった金額では取れないそうです。アマゾンやマイクロソフトが提供するクラウドサービスとどうしても価格を比較されてしまう。そして、値下げが必要となり、案件を受注できても苦しい。しかし、案件が取れないと更に収益が悪化してしまうので値下げをしないという選択肢はとれない。そのような負の連鎖に追いやられているとのことである。

 

②企業はITを企業経営へ活用するためシステム開発の内製化を推進

システムインテグレーションは、「工数積算を前提としたビジネス」である。工数(=システム開発に要する作業量)で顧客へ請求する料金の見積もりを行うビジネスモデルである。

この契約形態は,ユーザー企業とSIer間に相互不信を生じさせていると良くいわれている。一定の金額でシステム開発を行うことをSIerと顧客が契約締結を行った後、顧客は便利な機能を少しでも多くシステムに追加しようとする。一方、SIerは工数を少しでも削る為にシステムの機能を削ろうとする取り組みを行う。

この立場の違いがSIerと顧客間の対立と相互不信を増大させているといっても過言ではない。

上記の通り、SIerと顧客企業の間で不信感が高まっているなかで登場したのがクラウドである。クラウドの登場によって顧客企業が技術的知見やハードの制約から解放されたために、構築も運用も独自に気軽に手軽に手を出せる時代がやってきたのである。

■アマゾン ウェブ サービス(AWS)とは?

更にいえば、SIerのこれまでの提案内容では、提供するハードやソフトの選定理由や高額な料金設定がブラックボックスになっていたが、クラウドは技術的ハードルが低く、ユーザー企業が独自に試せ、内容を理解できるため主導権握り交渉することが出来る。

顧客企業のITの活用目的は、業務効率化、社内資源最適化といった生産性の向上による費用削減が主であった。

しかしながら、最近では、多くの企業が経営戦略とITの融合による売上高の拡大を重視し始めており、経営におけるITの重要性が高まるにつれて、システム関連業務を社外のSIerに丸投げするのではなく、内製化を志向し、ノウハウを社内に蓄積することを望む傾向にある。

以下は、「アスキー」の記事の一部引用だ。詳細は、引用元の記事を参照して欲しい。

10年前は、われわれもほかの会社と同じように、自社の社屋に空調設備やラックを置いて、サーバーを導入していました。でも、さすがにコストも運用負荷もかかるということで、それらをIBMのデータセンターに移したのが2008年。その後、仮想化によるサーバー集約を目的にクラウドを導入しました

いろいろ勉強することで、今まで要件的に載せられなかったサーバーもAWSに載せられるようになりました。監視に関しても、当初はわからなかったのですが、CloudWatchを使えるようになったら、サービスレベルが守れるようになった。こうなると、さらに載せられるシステムが増えるので、次はAWSにしてみませんかという提案ができるようになる。こうして、AWS上で動かすサーバーをどんどん増やしてきました。

実際のAWS導入のメリットはどんな感じだったでしょうか?運用コストは下がったし、リードタイムは確実に短くなりましたね。単純に今まで贅沢だったものを、自分たちでやることによって、運用コストの削減を得ただけという話だと思うんです。

以下略

出典「アスキー」-AWSの導入で内製化を加速した千趣会の情報システム部:http://ascii.jp/elem/000/001/413/1413422/

SIerは、ユーザー企業の(内製化による)ITエンジニアをサポートするための組織に変わっていくのかもしれない。

特にIoTなどデジタルビジネスの領域では、SIerは共にビジネスを発想・開発するパートナーとしての役割が期待され、これに応えられないSIはいずれビジネス機会を失うとも指摘されている。

日本のSIer市場が既存のビジネスモデルの延長線上を進んで行くのであれば、ガラパゴス市場と揶揄されるのではないだろうか。

 

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