就職活動では避けて通れない面接
「新卒の就職活動」でも「既卒の転職活動」でも、書類選考を突破した後には必ず「面接」という名の試験が待ち受けている。
そして、この面接という試験では、多種多様な質問が人事から飛んでくる。
このため、内定を勝ち取るためにも、人事から質問される内容を想定し、「自分という商品を魅力的に見せるための回答」を事前に用意しておく準備が重要となる。
面接で質問される内容はどの会社でもほとんど同じ
面接で質問の表現方法や言葉は異なっても、どの会社でも質問内容の本質は類似している。
「質問に対する回答を事前に用意ってどういうこと?」と考える人が多いと思うが、面接では必ずといってよいほど聞かれる質問が存在する。それは、
「自覚している長所(強み)と短所(弱み)に関する質問」
である。
例えば、以下のような質問内容である。
◎あなたが自覚している長所(強み)を教えて下さい。
◎あなたが自覚している短所(弱み)を教えて下さい。
◎あなたが自覚している性格について教えて下さい。
これらの質問に対し、説得力を持たせるために自分自身の実体験を交えながら、自覚している長所と短所を適切に回答しなければならない。
事前準備無しで適切に回答できる人のほうが少ないだろう。
この自覚している性格、つまりは長所(強み)と短所(弱み)に関する質問への受け答え次第で、面接の評価結果が大きく左右されるといっても過言ではない。
面接官から投げかけられる複数の質問の中でも、毎回聞かれる質問であると同時に、非常に重要度が高い質問ともいえる。
■面接官が長所(強み)と短所(弱み)を質問する理由とは?
そもそもの話、なぜ面接官は決まり文句のように、就職活動生に対して「自覚する長所(強み)・短所(弱み)」を質問するのか?
これには複数の理由があるが、主なものとして以下の三つが挙げられる。
①自分自身の性格を客観的に把握できている人物か判断したい
就職活動時の自己分析を通じて、自分の長所(強み)や短所(弱み)を理解できているつもり人が多いように思われる。
しかしながら、その認識は主観的で客観性が無く、実績や経験に基づいたものではない”単なる思い込み”の場合もある。
長所(強み)と短所(弱み)について質問することで、面接官はその人物の「客観的な認識力」や「論理的な説明力」、「長所や短所の裏側にある具体的な経験や実績」、更には「経験や実績に裏打ちされた人間性」まで把握できるのである。
②短所(弱み)に対し、克服のためにどのような取り組みを実行できる人物か知りたい
どれほど優秀と呼ばれる人間であっても、新しい不慣れな環境に身を置くということになれば、ゼロから情報を収集し、必要な知識と技術を習得する「対応力」が求められる。
「対応力」とは「自分に不足している部分を自助努力で補うことができる力」である。
この社会人には必須な「対応力」を測定するため、短所(弱み)について質問し、それを克服するための具体的な取り組みについても確認するのである。
③長所(強み)と短所(弱み)から、その人の能力が自社に相応しいか確認したい
この三番目の理由しか考えられていない新卒の就職活動性、既卒の転職者が非常に多い。
だからこそ、貴重な自己アピールのチャンスが到来しているにも関わらず、何の狙いもない安直な自分の長所(強み)と短所(弱み)を面接官に伝えてしまう。
そんな単純な思考で、優秀かつ数の多いライバルを出し抜けるわけがない。
志望する企業の社風や希望する業務内容、競合他社にはない強みを理解し、それらを面接官に伝える長所(強み)・短所(弱み)と上手に組み合わせる必要がある。
今回は、そんな「面接で聞かれる頻度が非常に高い長所(強み)・短所(弱み)に関する質問に対する理想的な回答例」について調査を実施した。
面接で必ずと言っていいほど聞かれるのであれば、長所(強み)・短所(弱み)に関する回答を事前に複数パターン用意しておく選択が合理的といえる。
面接における適切な長所(強み)・短所(弱み)の回答集一覧として紹介していく。
■短所(弱み)は長所(強み)に言い換えられるものを回答すべし!!
最初に、短所(弱み)に関して説明していく。
一般的に、長所(強み)よりも、短所(弱み)に関する回答の難易度のほうが高いといわれているためである。
あなたが自覚している短所(弱み)を教えて欲しいと面接官に聞かれた場合、あなたはどのように回答すべきだろうか?
◎時間を守れない性格です。
◎人との約束を破ってしまいがちで自分に甘い性格です。
◎言葉遣いが悪いと良く注意されます。
:
等々
上記のような短所(弱み)はどうやっても長所(強み)に言い換えることが難しいため、面接官からの評価も悪いものに終わる可能性が高い。
就職活動というものは、質問に対して素直に回答すれば報われるというような甘い世界では決してない。
長所(強み)に言い換えることができない”致命的な短所(弱み)”の回答は避けるべきといえる。
優秀なライバルが多い一流企業の選考ではお祈り確定ともいえる。
以下に示すのが、自身が自覚している短所(弱み)に関する理想的な回答の例である。
①【短所】諦めが悪い性格、往生際が悪い性格です⇒
【人事】この人は辛い場面でも最後まであきらめないのではないか?ノルマが厳しい弊社の営業でも上手くやっていけるのではないか?
②【短所】口数がとても多く、黙っていられない性格です⇒
【人事】誰とでもコミュニケーションが取れる社交的な性格なのではないか?弊社の営業や企画の業務に向いているのではないか?
③【短所】こだわりが強く、一度方向を決めてしまうと周りが見えなくなってしまう性格です⇒
【人事】根気と継続力が要求される弊社のデータ分析業務に向いているのでは?
上の回答例文を見て、観が良い人は既に分かっているかと思うが、面接を受ける会社の社風や業務内容によって回答内容を調整する必要がある。
例えば、上記①のような短所の回答は、体育会系の社風の営業主体の会社の面接に対して有効といえる。
上記③のような短所の回答は、証券アナリストやプログラマー等の長時間にわたる緻密な作業が要求される業務がメインの会社に対して有効といえる。
◎長所(強み)に変換可能な短所(弱み)を答えること
◎面接を受ける会社の特性に合わせた短所(弱み)を答えること
この重要な二つのポイントを押さえていれば、あなたの面接の通過率は高いものとなる。
それでは、自覚する短所の回答例一覧をご紹介する。
■自覚する短所(弱み)の最適な回答一覧20個まとめ!!
①【短所】融通が利かない頑固な性格
⇒【長所】流行に流されにくく一貫性がある
②【短所】落ち着きが無い性格
⇒【長所】社交的で行動的
③【短所】堅苦しい性格
⇒【長所】真面目で物事に真剣に取り組む
④【短所】気が弱い性格
⇒【長所】協調性があり優しい性格
⑤【短所】プライベートな部分まで入り込むおせっかいな性格
⇒【長所】細かいところにもよく気付き、面倒見があり社交性がある
⑥【短所】頑固な性格
⇒【長所】粘り強く妥協しない性格
⑦【短所】神経質な性格
⇒【長所】几帳面で周りに気配りが出来る
⑧【短所】理屈っぽい性格
⇒【長所】論理的に考えることが出来る
⑨【短所】せっかちな性格
⇒【長所】行動が素早い
⑩【短所】慎重になり過ぎる優柔不断な性格
⇒【長所】リスクを考慮した責任ある行動ができる人物
⑪【短所】人見知りしてしまう性格
⇒【長所】人のことをよく観察し慎重に人付き合いが出来る
⑫【短所】好奇心が強すぎる性格
⇒【長所】社内業務の知識をすぐに吸収出来る
⑬【短所】八方美人な性格
⇒【長所】人とのコミュニケーションを円滑に行うことに努力できる人物
⑭【短所】マイペースな性格
⇒【長所】マニュアルや既存の枠にとらわれず斬新な発想ができる
⑮【短所】夢中になると周りが見えなくなりやすい性格
⇒【長所】好奇心に触れ、吸収力がある学習意欲が強い性格
⑯【短所】感情的になりやすい性格
⇒【長所】感受性豊かで裏表がない素直な性格
⑰【短所】とても心配性な性格
⇒【長所】ミスが少なく不測の事態を予測できる人物
⑱【短所】楽観的で考えるより行動が先になってしまう性格
⇒【長所】ポジティブ思考やプラス思考で考えられるストレス体制が高い人物
⑲【短所】何かと緊張しやすい性格
⇒【長所】人一倍準備を行うことを大切にし信頼できる人物
⑳【短所】一人で抱え込んでしまう性格
⇒【長所】仕事に対する責任感が強い
■長所は実績・経験・エピソード等の具体例とセットで面接官に説明すべし!!
長所(強み)は自分の人生で特にアピールしたい実績や経験、エピソード等の具体例とセットで面接官に説明すると良い。
例えば、「長所(強み)」と「実績や経験」がセットでない場合、以下のような説得力に欠ける主張に終わってしまう。
◎私の長所は粘り強い所です。
◎私の長所は一つの目標に向けて周囲の人間を巻き込むことができる所です。
◎私の長所は何にでも挑戦してみるチャレンジ精神を持っている所です。
:
等々
これだけでは、「理由は?本当に?具体的には?」というような面接官の質問攻めにあってしまう。
また、回答の第1段階で上記のような端的な長所の説明だけに留め、第2段階として面接官から理由や具体的な実績・経験を質問されたら答えるという流れは有効といえる。
特に、最初から長所(強み)と具体例をセットにして説明する場合、「回答が長々と続く冗長なもの」、「事前に用意してきた回答を機械的に口に出しているだけ」といった悪い印象を面接官に抱かれる可能性があるため、注意が必要といえる。
「①長所を実績・経験とセットにして自ら積極的に最初から説明した方が良いのか?」あるいは、「②端的に長所を説明した後、面接官の質問を待ってから理由や具体例(実績・経験)等の根拠を答えた方が良いのか?」。
この説明順序については、ケースバイケースであり、その場の雰囲気に合わせて臨機応変に対応する必要がある。
それでは、自覚する長所(強み)と具体例の回答一覧集を紹介しよう。
■自覚する長所(強み)+具体例の最適な回答一覧20個まとめ!!
①【長所】粘り強い性格
【長所】真摯に取り組む性格
⇒【具体例】学園祭やサークルで苦境に立たされた場面での努力
②【長所】リーダーシップを取れる性格
【長所】主体性がある
⇒【具体例】サークルやアルバイトで部長等の役職を担った際の経験
③【長所】企画力がある
⇒【具体例】幹事として飲み会やイベントを開くことが多い
④【長所】相手の立場に立てる性格
⇒【具体例】塾講師で相手の理解度を踏まえ勉強を教えた経験
⑤【長所】行動力がある性格
⇒【具体例】海外留学や学外における活動
⑥【長所】課題発見力に自信がある
⇒【具体例】大学のゼミあるいは研究での実績・経験
⑦【長所】計画性がある性格
⇒【具体例】レポート提出や友人との旅行の計画の策定経験
⑧【長所】気が利く性格
⇒【具体例】アルバイトでの接客経験など
⑨【長所】地道な努力を続けられる性格
【長所】学習意欲がある性格
⇒【具体例】資格取得や受賞経験、誇れる成績をアピール
⑩【長所】ポジティブ・前向き・プラス思考な性格
⇒【具体例】過去の自身の失敗経験から学んだ教訓を活かした経験
⑪【長所】相談事をよく受ける性格
⇒【具体例】友人の悩みに乗ることが多く潤滑油のような役割を果たしている
⑫【長所】体力に自信がある
⇒【具体例】サークルではなく体育会等の部活動での経験・実績をアピール
⑬【長所】人を楽しませることが出来る性格
⇒【具体例】サークルや職場での経験、ムードメーカー的な存在をアピール。サプライズ企画など具体的に
⑭【長所】真面目で実直な性格
⇒【具体例】学業成績や営業成績、資格取得、計画や生活習慣、提出期限を徹底して守っている経験
⑮【長所】協調性があり円滑な関係を築くことができる性格
⇒【具体例】集団の中で潤滑油のような役回りを担っていた具体的な経験談を説明
⑯【長所】臨機応変に冷静に対応できる能力
⇒【具体例】サークルや職場で冷静にトラブルに対応した経験をアピール
⑰【長所】周りに振り回されない性格
⇒【具体例】周りの刺激に対して感情的ならず、目標を達成した成功体験をアピール
⑱【長所】好奇心旺盛で何でも吸収できる性格
⇒【具体例】分からないことをすぐに調べ何かに活かした経験、独自に行った工夫など
⑲【長所】人見知りをしない社交性のある性格
⇒【具体例】プレゼンテーション経験や世代を超えた付き合いなど
⑳【長所】協調性がある性格
⇒【具体例】グループワークやグループ活動で意見をまとめた経験
面接を突破するためには自分なりのアレンジが必要
上記の例は抽象度が高く、あくまで基本の型である。
個々人の実際の経験や実績、エピソードを上手く当てはめられそうな長所の具体例を選び、嫌味が無いように面接官に説明する必要がある。
繰り返しになるが、新卒の就職活動や既卒の転職活動、それ以外の受験の面接においても、自身が自覚している長所(強み)・短所(弱み)関する質問は高確率で投げ掛けられる。
最後まで読んでくれた読者の面接の通過率が少しでも高まることを祈っている。
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